遺言と実際の資産が違ったら?遺言の効力は?
遺言書は、故人の意思を尊重し、遺産を円滑に相続するために重要な書類です。しかし、遺言書の作成から時間が経過すると、資産内容に変化が生じることがあります。その場合、遺言書と資産内容に齟齬が生じ、相続手続きに支障をきたす可能性があります。
■遺言と資産内容の齟齬とは?
遺言書と資産内容の齟齬とは、遺言書に記載された財産が、相続時点で存在しない場合や、相続人や相続内容が遺言書と異なる場合を指します。
たとえば、遺言書に「自宅は長男に相続させる」と記載されていたとしても、相続時点で自宅がすでに取り壊されていた場合、遺言書通りに相続手続きをすることはできません。
■遺言と資産内容の齟齬の効力
遺言と資産内容に齟齬がある場合、遺言書の効力はどうなるのでしょうか?
遺言書と資産内容に齟齬がある場合、齟齬がある部分については改めて遺産分割協議をしなければなりません。
たとえば、~銀行のA口座に預金が現在100万円あるからといって、「~銀行のA口座の預金100万円を長男に相続させる」と遺言書に記載してしまうと、将来的に口座の預金額が増加した場合に、増加分については遺言による指定の効力が及ばないと判断され、その増加分について誰が相続できるかなどでトラブルになる可能性があります。
■遺言書の効力を維持する方法
遺言書と資産内容の齟齬を防ぐためには、遺言書を作成した後も、資産状況の変化に注意し、必要に応じて遺言書を作り直すことが大切です。
具体的には、以下のような場合に遺言書の作り直しを検討しましょう。
・相続人が変更になった場合
・財産が増えた場合
・相続させる内容に変更があった場合
また、遺言書に「相続させる財産が存在しなくなった場合、残りの一切の財産を相続させる」といった記載をしておくと、遺言書の効力を維持しやすくなります。
■遺言書の作り直しのポイント
遺言書の作り直しをする場合は、以下の点に注意しましょう。
・相続人の意向を十分に確認する
・財産の状況を正確に把握する
・専門家に相談する
相続手続きは、故人の意思を尊重し、遺族の負担を軽減するために重要です。遺言書は、相続手続きを円滑に進めるために欠かせない書類です。遺言書を作成している場合は、定期的に資産状況の変化を確認し、必要に応じて作り直すことをおすすめします。
■まとめ
遺言書の作り直しをおすすめする理由は、以下のとおりです。
・遺言書の内容が最新のものになる
・遺言書の効力を維持できる
・相続手続きを円滑に進めることができる
遺言書は、故人の意思を尊重し、遺族の負担を軽減するために重要な書類です。遺言書を作成している場合は、定期的に資産状況の変化を確認し、必要に応じて作り直すことをおすすめします。
また、不動産や預貯金などについては、具体的な金額ではなく分け方を決めて遺言書を作成しておけば、手間がかからず安心だといえます。
遺言書の作り直しについてご不明な点等ございましたら、当事務所にご相談下さい。