タンス預金は相続税の対象!葬儀費用に使ったとしても注意が必要

親が亡くなったとき、いわゆるタンス預金の存在を知った、または教えられたという人は少なからずいらっしゃるでしょう。タンス預金は相続財産として相続税の対象になるのでしょうか?

令和3年の相続財産の内訳をみると、下記のようになっており、相続財産のうち現金・預貯金等は約34%をしめております。

・令和3年相続財産の内訳(単位:億円)
土地:65,428
家屋:10,133
有価証券:32,204
現金・預貯金等:66,846 
その他:22,182
合計:196,794

結論から言うと、タンス預金は相続財産として相続税の対象になります。

相続税の対象となる財産は、金融機関への預金や所有株式、自宅土地建物など不動産だけではありません。タンス預金も金額の多少にかかわらず相続財産として計算に入れることが必要で、全ての財産合計金額と相続人の数などによって、相続税が決まります。

■タンス預金を葬儀費用等に使った場合は?

葬儀費用は、相続税の対象となる財産から差し引き(控除)できるものとして認められています。具体的には、以下の費用が葬儀費用として控除できます。

・葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
・遺体や遺骨の回送にかかった費用
・葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります)
・葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
・死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用

タンス預金を葬儀費用に使ったとしても、相続が発生したとき(死亡時)には使われていなかったお金なので、全額を相続財産として相続税計算に入れる必要があります。

つまり、タンス預金の100万円を葬儀費用に使った場合、相続財産は100万円少なくなります。そのため、相続税額も100万円少なくなります。

■タンス預金は、税務署にバレない?

税務署は預金口座のお金の動きをチェックして不自然な点を見つけたら調査するので、タンス預金は発覚しやすいと言えます。

葬儀前後には医療費や葬儀費用など大きな金額が動くので、それらのお金はどこから用意したのか・いくら使ったのか記録しておくと良いでしょう。

ポイント

・タンス預金は相続財産として相続税の対象になる
・葬儀費用は相続税の対象から控除できる
・タンス預金を葬儀費用に使ったとしても、全額を相続財産として相続税計算に入れる必要がある
・タンス預金は税務署にバレやすいので、記録しておく必要がある

■まとめ

亡くなった親のタンス預金は、相続財産として計算しなくてはいけません。その理由は、相続が発生したとき(死亡時)には使われていなかったお金であり、故人の財産なのです。

相続財産を分ける話し合いや相続税申告で思わぬトラブルが起きる事態を防ぐために、タンス預金の金額や他の財産類、葬儀に使った金額などを記録しておき、早めに税務署や税理士に相談すると良いでしょう。

注意点

タンス預金は、相続税の申告を忘れると、延滞税などのペナルティが課される可能性があります。相続が発生したら、早めに税務署や税理士に相談して、相続税の申告を忘れないようにしましょう。

出典
国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用 [令和5年4月1日現在法令等]
国税庁 令 和 3 年 分 相 続 税 の 申 告 事 績 の 概 要

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