【12月13日施行】改正空き家法で何が変わる?所有者はどうなる?

改正空き家法

近年、空き家問題が深刻化しています。総務省の調査によると、2018年時点で全国の空き家は849万戸に上り、20年間で約1.5倍に増加しました。そのうち、腐朽、破損がある空き家は約101万戸にのぼり、地域住民の安全や衛生に悪影響を及ぼしているものもあり、大きな社会問題となっております。

また平成27年より施行された空き家法では特定空家等に対する措置として、平成27年度以降の累計件数で、助言・指導が30,785件、勧告が2,382件、命令が294件、行政代執行が140件、略式代執行が342件となっており、増加傾向にあります。

現行の空き家法では、特定空家への対応が中心になっているため、自治体からの声を受け、より一層の空家対策の強化を図るため、国は2023年6月14日に空き家法の一部改正を行い、2023年12月13日より施行されます。

また、今回の改正で空き家所有者責務の強化として、現行の適切な管理の努力に加えて、国・自治体の施策に協力する努力義務を追加しております。

■空き家法、改正の主な内容

改正法の主な内容は、以下のとおりです。

空き家の活用を拡大していく

特定空家化を未然に防ぐ為の管理の確保

特定空家への措置を円滑化

■空き家の活用を拡大していく

空家を有効に活用していくための内容は以下のとおりです。

・空き家活用を重点的に実施する空家等活用促進区域の創設
・所有者不在で空き家の処分ができるよう財産管理人の選任を市区町村が請求できる
・自治体および空き家の所有者をサポートする為に、空家等管理活用支援法人の創設

■特定空き家化を未然に防ぐ為の管理の確保

特定空き家化を未然に防ぐ為の管理の内容

・管理不全空き家(放置すれば特定空き家となるおそれのある空き家)に対して市区町村が指導・勧告
・管理不全建物管理人の選任を市区町村が請求できる
・空き家所有者を円滑に把握する為に、電力会社等に所有者情報の提供を要請できる

■特定空き家への措置を円滑化

特定空き家への措置を円滑にするための内容

・代執行の円滑化
・所有者不明または相続放棄された管理不全空き家、特定空き家への対応
・空家の状態を把握する為、所有者への報告徴収権を市区町村へ付与

■改正法の評価

今後も増え続ける空き家問題を加速度的に解決するための今回の一部改正。少子高齢化が進む中、空き家の総数は全国的に増えていくと思われます。

今後より円滑に空き家問題を解決していく為に、例えば「管理不全空き家」の新設により、倒壊の危険が高い「特定空き家」になる前段階で、早期に介入することが法令上可能となりました。

現行では空き家になっているにも関わらず、制度上どうすることもできなかった空き家問題に、早期に解決が期待できる新制度です。

また、自治体が持つ権限も強化され、特定空き家の解体に向けてより迅速な手続きが可能となっております。さらに、空き家事業に関わる自治体職員の人手不足の問題も民間法人との官民連携で解消していく方針を打ち出しております。

■まとめ

今回の改正法は、空家問題の解決に向けた重要な一歩と言えるでしょう。しかし、以下のような課題も指摘されています。

・特定空家等の除却等の費用の負担を所有者から徴収する制度の周知・理解の促進
・所有者不明空き家の対策の強化

国は、これらの課題を解決するために、引き続き検討を進めていく必要があると考えられます。
改正空き家法についてご不明な点等ございましたら、当事務所までご相談下さい。

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