【2024年4月から義務化!】相続不動産の登記をしないとどうなる?
相続不動産の登記義務化
不動産相続登記とは、被相続人から相続された不動産の所有権を、相続人名義に変更する登記のことです。これまでは、相続登記は任意でしたが、2024年4月1日からは義務化されます。
■義務化の背景
相続登記の義務化は、東日本大震災をきっかけに議論が始まりました。
政府は被災した沿岸地域から高台への集団移転を計画。高台の土地の確保を進めようとしたが、所有者が分からない土地が相次いで見つかった。所有者を確定して土地を譲り受ける作業に手間取って移転先の造成が進まず、復興に支障が出ました。
国土交通省によると、登記を閲覧しただけでは所有者が分からない土地の割合は、令和4年度で全国の土地の24%を占める。
原因は相続登記が済んでいないのが60%で、所有者の住所変更の登記が済んでいないのが34%。売買後も登記がされていないのが4%だった。東日本大震災では、被災地で多くの不動産が所有者不明となったことが問題となりました。
所有者不明の不動産は、相続や売却などの手続きが困難になるだけでなく、さまざまなリスクを引き起こします。
例えば、所有者不明の不動産は、他人に勝手に売却されたり、土地の上に建物が建てられたりする可能性があります。
また、災害時に避難場所として利用される必要が生じた場合でも、所有者不明のために利用できないこともあります。
こうした問題を解決するために、相続登記の義務化が検討されたのです。
■登記の義務化とは?
令和6年4月1日からは、不動産を相続した相続人は、相続の開始を知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければいけなくなります。登記を怠った場合、10万円以下の過料が科されます。
■相続人の権利を守るための新しい仕組み
相続登記の義務化により、相続人が複数いる場合、相続割合の確定を待たずに相続登記を申請できる「相続人申告登記」制度が導入されます。
この制度により、相続人が早めに相続登記を申請できるようになり、相続財産の管理や処分を円滑に行うことができるようになります。
■影響と課題
相続登記の義務化により、相続手続きが複雑化する可能性があると懸念されています。特に、相続人が複数いる場合や、相続財産に不動産以外の財産も含まれる場合は、相続登記の申請に手間と時間がかかります。
また、相続登記の費用も、相続財産の規模によって大きく異なるため、負担を感じる相続人もいるでしょう。
■法改正以外の対策
相続登記の義務化に伴い、相続土地国庫帰属制度が創設されます。
今年4月には「相続土地国庫帰属制度」を創設した。相続したが手放したい土地は、法務局の要件審査を通れば、負担金を納めた上で国庫に譲ることができる。ただし、建物がある土地などは対象外だ。
また、相続登記の費用を軽減するため、相続登記の際にかかる登記免許税の免税措置が継続されます。
■政府の対応策とサポート体制
政府は、相続登記を促進するため、広報活動や相談会などを実施しています。また、相続登記の申請をサポートする専門家も増えています。
■まとめ
相続登記の義務化は、不動産の所有者不明問題を解決し、相続手続きの円滑化を図るための重要な施策です。しかし、相続登記の義務化に伴う課題も少なくありません。政府や専門家によるサポート体制を整えつつ、相続登記の普及を図っていくことが重要です。
不動産の相続登記について、ご不明な点等ありましたら、当事務所までご相談下さい。