「婿」と「婿養子」の意外な違いとは?

はじめに

婿養子とは、妻の親と養子縁組をして、妻の姓を名乗って妻の親と暮らす婚姻形態のことです。日本では古くから行われてきた伝統的な婚姻形態ですが、近年では減少傾向にあります。

本ブログでは、婿養子とは何か、婿養子と一般的な養子、実子の違いについて解説します。また、婿養子のメリットとデメリット、離婚に伴う解消手続きについても説明します。

■婿養子とは?

婿養子の定義と特徴

婿養子は、養親の娘と婚姻する際に同時に妻の親と養子縁組をすることを指します。

■婿養子の特徴は、以下のとおりです。

・妻の姓を名乗る
・妻の親の養子となる
・妻の親の財産を相続する

■婿養子と婿・実子の違い

婿養子と婿の違い

婿養子と婿は、どちらも妻の姓を名乗る婚姻形態ですが、養子縁組の有無によって異なります。
婿は、妻の姓を名乗るだけであり、妻の親と養子縁組をすることはありません。そのため、婿は妻の親の養子ではなく、親子関係は成立しません。

一方、婿養子は、妻の姓を名乗ると同時に、妻の親と養子縁組をします。そのため、婿養子は妻の親の養子となり、親子関係が成立します。

■実親の相続

婿養子は、実親と養親の両方の相続権を有します。
実親の相続については、婿養子は実子と同様に、法定相続分に基づいて相続する権利があります。例えば、婿養子が一人っ子で、実親に兄弟姉妹がいない場合には、婿養子は実親の財産をすべて相続することになります。

■養親の相続

婿養子は、養親の相続についても、実子と同様に、法定相続分に基づいて相続する権利があります。例えば、婿養子が養親の一人っ子である場合、婿養子は養親の財産をすべて相続することになります。

なお、養親が婿養子と実子がいる場合、婿養子は実子と同様に、遺留分請求権を行使することができます。

■婿養子のメリット

・養親からの相続権

婿養子となることで、養親の財産を相続する権利を得ることができます。
例えば、養親が事業を営んでいる場合、婿養子となることで、養親の事業を引き継ぐことができます。

・相続税の非課税枠の増加

婿養子となることで、相続税の非課税枠が拡大します。
法定相続人一人当たり600万円です。婿養子も法定相続人として扱われるため、その分、非課税枠は増えます。ただし法定相続人に含められるのは、実子がいる場合は養子1人までです。

■婿養子のデメリット

・相続トラブルの可能性

婿養子となることで、相続トラブルの可能性が高まる可能性があります。
例えば、養親が実子がいる場合、婿養子と実子との間で相続争いが起こる可能性があります。

・養親の扶養義務

婿養子となることで、養親の扶養義務を負うことになります。
例えば、養親が老齢や病気で働けなくなった場合、婿養子は養親の扶養義務を負う必要があります。

■婿養子の離婚に伴う解消手続き
 
養子縁組解消と離婚の両方の手続き

婿養子が離婚する場合には、養子縁組解消と離婚の両方の手続きが必要です。
また、養子縁組を解消しなければ、離婚届を提出しても、妻の両親との親子関係は継続します。

具体的な手続きとして、役所へ「養子離縁届」と「離婚届」を提出します。まず最初に養子縁組を解消した後、離婚の手続きを行うのが一般的です。
「養子離縁届」の提出により、養親との親子関係はなくなるため、財産の相続権も失います。

■財産分与と養子縁組解消の関連

婿養子が離婚する場合には、養子縁組解消と財産分与が関連する場合があります。
養子縁組解消に関しては養親からの財産分与はありませんが、例えば、婿養子が妻の親の財産を相続している場合、離婚に伴って、養子縁組解消を条件に、財産の一部を妻に分与する合意をする場合があるでしょう。

■まとめ
婿養子には、養親からの相続権や相続税の非課税枠の拡大などのメリットがありますが、相続トラブルの可能性や養親の扶養義務などのデメリットもあります。

婿養子となるかどうかを検討する際には、これらのメリットとデメリットを十分に理解した上で、慎重に判断する必要があります。

養子縁組についてご不明な点等ございましたら、当事務所までご相談下さい。

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