離婚後、子どもとどうやって向き合う?共同親権制度のメリットとデメリットとは?
■はじめに
我が国では、離婚後の親権は、原則として父母の一方に単独で付与される。しかし、近年、離婚後の共同親権制度の導入を求める声が高まっている。
■主な論点
離婚後共同親権制度導入の是非
離婚後共同親権制度の導入の是非については、賛成意見と反対意見がある。
●賛成意見
賛成意見としては、以下のようなものが挙げられる。
・離婚に伴う配偶者間紛争の深刻化の防止
・離婚後の共同養育による子の健全な人格形成
・円滑な面会交流及び養育費支払確保
離婚に伴う配偶者間紛争は、子の養育権をめぐって激化することが多い。共同親権制度を導入することで、両親が子育てに対する責任を共有し、協力して子育てに取り組むようになることで、配偶者間紛争の深刻化を防止できると考えられる。
また、離婚後も両親が子の養育に関わることは、子の健全な人格形成に重要である。共同親権制度を導入することで、離婚後も両親が子の養育に積極的に関わることができるようになると考えられる。
さらに、離婚後も両親が協力して子育てに取り組むことで、円滑な面会交流や養育費の支払確保が期待される。
●反対意見
反対意見としては、以下のようなものが挙げられる。
・DVや児童虐待との関係
・家庭裁判所の過剰負担と体制整備の必要性
・子連れ再婚家庭への影響
DVや児童虐待があった場合、共同親権制度では、被害者が加害者と再び顔を合わせる機会が増え、被害が悪化する可能性がある。また、共同親権制度を導入するためには、家庭裁判所の負担が増加するため、体制の整備が必要である。さらに、共同親権制度を導入した場合、子連れ再婚家庭において、再婚相手が子の養育に関わることが難しくなる可能性がある。
■離婚後共同親権制度を導入する場合の検討課題
離婚後共同親権制度を導入する場合、以下の点について検討が必要である。
・父母が共同で決定しなければならないことの具体的内容
・離婚後の子の養育上の決定への関与態様とその選択の在り方
・適時適切な合意形成を可能とするための方策
父母が共同で決定しなければならないことの具体的内容については、子の進学先や医療方針などの重要事項を想定している。また、離婚後の子の養育上の決定への関与態様については、常に双方の合意が必要とする方法や、単独で決定できる場合とし、他方の親は異議申立てができる方法など、様々な方法が考えられる。さらに、適時適切な合意形成を可能とするための方策としては、裁判所の判断を補完するような公的機関の介入を検討する必要がある。
■おわりに
離婚後共同親権制度の導入の是非は、様々な意見があるため、慎重に検討する必要がある。導入のメリットとデメリットを十分に検討した上で、子にとって最善の制度設計を模索することが重要である。