【放置はNG!】空き家問題の意外な解決策と、知っておくべき火災保険のポイントとは?
はじめに
近年、日本では空き家問題が深刻化しています。「令和5年住宅・土地統計調査」(総務省統計局)によると、別荘以外で賃貸や売却の予定がない個人の空き家は過去最多の385万戸に達しました。この中には、相続で継いだ空き家の実家も多く含まれています。既に自分たちの住居を持つ子世代にとって、こうした空き家は頭の痛い問題となっています。そこで、現状の分析と解決策を以下の内容で進めて参ります。
1.空き家の課題
2.火災保険の現状と課題
3.代替案と解決策
4.まとめ
1.空き家の課題
■経済的負担
空き家を所有し続けることは、毎年の固定資産税の支払いや保険料、管理費といった経済的負担を意味します。さらに、最低限の住環境を維持するためには手間もかかります。これらの負担は、空き家が増えるにつれて大きな問題となってきています。
■リスクと危険
空き家は風水災や事故による損壊の恐れが高まり、侵入や盗難、放火といったリスクも増します。さらに、空き家が原因で他人にケガをさせたり、物に損害を与えたりした場合、所有者は法律上の損害賠償責任を負うことになります。こうしたリスクは時間とともに増大します。
2.火災保険の現状と課題
■火災保険の基本構造
火災保険には、住宅が加入する「住宅物件」と、事務所など事業者が加入する「一般物件」があります。住人がおらず損害が生じるリスクが増す空き家は「一般物件」とされ、保険料が高めに設定される傾向にあります。損害保険会社によりますが、住宅の2倍以上の保険料がかかることもあります。
■保険料の高騰と審査の厳格化
風水災の増加により、損保業界の火災保険収支は2011年以降、赤字が常態化しております。大規模災害が発生した年は大きく赤字となり、それ以外の年でも赤字もしくは赤字水準になっております。このため、保険料の引き上げや物件審査の厳格化が進んでいます。社員による物件調査や、状態により高額の免責金額が設定される場合もあります。
■加入の制限
ネット火災保険やJA共済、こくみん共済coop、都道府県民共済が提供する火災共済は、もともと空き家は加入できません。また、これまで住宅だった物件でも空き家になった場合には、火災保険などの契約先に速やかに通知する必要があります。通知を怠ると、保険金が支払われなかったり、契約が解除されたりする恐れがあります。
3.代替案と解決策
■空き家管理サービスの活用
NPO法人空家・空地管理センターが提供する空き家管理サービスを利用する方法があります。このサービスでは「空き家専用保険」が自動付帯されており、他人への損害賠償が1億円まで補償されます。さらに、火災等で半焼以上となった場合に100万円または200万円の解体費用、10万円または20万円の近隣への失火見舞費用が補償されます(契約タイプにより異なります)。
■空き家活用の検討
空き家を放置するリスクを考えると、早い段階で利活用を検討することが重要です。例えば、空き家を賃貸に出す、売却を検討するなどの対応が求められます。これにより、経済的負担を軽減し、リスクを回避することができます。
■専門家への相談
空き家問題を解決するためには、早期に専門家に相談し、適切な支援を受けることが重要です。専門家は空き家の有効活用方法や売却手続き、保険加入の手続きなど、具体的なアドバイスを提供してくれます。これにより、所有者は自分だけで抱え込まず、適切な対策を講じることができます。
4.まとめ
空き家問題は日本にとって深刻な課題であり、特に火災保険の加入はますます難しくなっています。空き家を所有するリスクを最小限に抑えるためには、早期に利活用を検討し、専門家のアドバイスを受けることが重要です。空き家の管理や処分について専門家の支援を受けて、経済的な負担やリスクを軽減し、安心して日常生活を送ることができると思います。
また、地域社会への貢献や環境保護の観点からも、空き家を適切に管理・活用することが求められます。例えば、リノベーションや再開発を通じて新たな住居や商業スペースを創出することで、地域の活性化にも寄与することができます。したがって、空き家問題に対しては、個々の所有者のみならず、行政や地域社会全体が協力して取り組むことが重要です。
参考資料
令和5年住宅・土地統計調査
(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/index.html)
NPO法人空家・空地管理センター
(https://www.akiya-akichi.or.jp/kanri/insurance/)
一般社団法人 日本損害保険協会
(https://www.fsa.go.jp/singi/suisai/siryou/20210625/02.pdf)