増え続ける空き家の現状と課題

■空き家の推移

日本における空き家の数は、1990年代から急増しています。総務省の住宅・土地統計調査によると、2018年時点での空き家数は約848万戸で、全住宅数に占める割合は13.6%です。これは、調査開始以来、過去最高の数値です。この増加の背景には、少子高齢化による人口減少、核家族化、都市部への人口集中などが挙げられます。

        (※参照:総務省・「平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果」)

■空き家問題の現状

空き家が増えることで、さまざまな問題が生じています。主な問題点は以下のとおりです。

・景観の悪化
空き家は、雑草が生い茂ったり、建物が老朽化したりすることで、周辺の景観を悪化させます。

・犯罪の温床化
空き家は、不法侵入や住みつき、放火などの犯罪の温床になりやすくなります。
2023年10月18日産経新聞ネットニュース
埼玉・川口の空き家で窃盗容疑

2023年10月19日京都新聞ネットニュース
所有の空き家に放火し全焼させた疑い、近隣にも延焼

2023年10月19日茨城新聞ネットニュース
解体作業の空き家全焼 隣接2棟も焼く

・衛生環境の悪化
空き家は、不衛生な状態になりやすく、異臭や害虫が発生することがあります。

・倒壊の危険性
空き家は、放置されることで倒壊の危険性が高まります。

2023年10月17日NHK NEWS WEB
倉敷市 倒壊のおそれがある空き家を撤去 倉敷市では初めて

2023年10月18日FNNプライムオンライン
放置された危険な“空き家”解体へ 新潟市で初の略式代執行

■空き家問題の課題

空き家問題の課題は、以下のとおりです。

・所有者不明の空き家の増加
空き家のうち、所有者が不明の空き家は約200万戸と、全体の約24%を占めています。所有者が不明な空き家は、管理や活用が困難なため、問題解決が難しいのが現状です。

・空き家対策の費用負担
空き家対策には、行政による空き家調査や立入検査、行政代執行などの費用がかかります。これらの費用は、税金などで賄われるため、国民負担の増加につながります。

・空き家対策の法整備の不十分さ
空き家対策を進めるための法律は、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が制定されました。しかし、この法律には、所有者不明の空き家対策や、空き家を活用するための支援制度などが不十分な点があります。

■空き家問題の解決方法

空き家問題を解決するためには、以下の対策が考えられます。

・所有者不明の空き家対策の強化
所有者不明の空き家を早期に発見し、所有者を特定するための対策を強化する必要があります。また、所有者を特定できない場合には、行政が管理や活用を行うための仕組みを整える必要があります。

・空き家対策の費用負担の軽減
空き家対策の費用負担を軽減するために、国の補助制度を充実させる必要があります。また、民間企業による空き家対策への参入を促進し、費用負担を分散させる仕組みを検討する必要があります。

・空き家対策の法整備の充実
空き家対策をより効果的に進めるために、法律の改正や新たな制度の創設を検討する必要があります。具体的には、所有者不明の空き家に対する行政代執行の対象拡大や、空き家を活用するための支援制度の拡充などが考えられます。

■まとめ

空き家問題は、日本が抱える深刻な社会問題です。空き家が増えることで、景観の悪化、犯罪の温床化、衛生環境の悪化、倒壊の危険性などの問題が生じます。

空き家問題を解決するためには、所有者不明の空き家対策の強化、空き家対策の費用負担の軽減、空き家対策の法整備の充実など、さまざまな対策が必要です。国や地方自治体、民間企業が連携して、空き家問題の解決に向けて取り組んでいくことが重要です。空き家で、ご不明な事やお困りの際は当事務所へご相談下さい。

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