増える死後離婚、死後離婚とは?
死後離婚とは、配偶者が亡くなった後に、配偶者の血族(義父母、義理の兄弟姉妹)との親族関係を終了させる手続きのことです。死後離婚という言葉は手続きの正式な名称ではありませんが、配偶者の死後に親族の関係を終わらせることから、このように呼ばれています。
死後離婚を行ったとしても、配偶者との関係が切れるわけではありませんし、戸籍も分かれません。法的にも「配偶者」であるという地位がなくならないので、遺産相続権はそのまま認められますし、遺族年金を受け取ることも可能です。
■なぜ死後離婚をするのか?
死後離婚をする理由は、大きく分けて2つあります。
・1つは、配偶者の死後、配偶者の血族とのトラブルを避けたい場合です。例えば、配偶者の両親や兄弟姉妹から、遺産や財産を要求さ れたり、介護や扶養を押し付けられたりするなどのトラブルが生じる可能性があります。死後離婚をすることで、そのようなトラブルを未然に防ぐことができます。
・もう1つは、配偶者の血族と縁を切りたい場合です。例えば、配偶者の家族との間に深い溝があったり、配偶者の死によって家族関係が変化したりした場合などに、死後離婚を検討することがあります。
■死後離婚の手続き
死後離婚の手続きは、以下のとおりです。
・姻族関係終了届を作成します。
・姻族関係終了届を、配偶者が亡くなった場所の市区町村役 場に提出します。
・市区町村役場から、姻族関係終了の証明書が発行されます。
姻族関係終了届は、配偶者が亡くなった日から3年以内に提出する必要があります。また、姻族の同意は不要です。
■死後離婚のメリット・デメリット
死後離婚には、以下のメリット・デメリットがあります。
■メリット
・配偶者の死後、配偶者の血族とのトラブルを避けられる。
・配偶者の血族と縁を切ることができる。
■デメリット
・手続きに費用がかかる(市区町村によって異なりますが、一般的に数千円程度です。また、専門家に依頼する場合は、さらに費用が発生します)
・姻族関係終了届を一度提出すると、原則として取り 消すことができない。
■死後離婚を検討する際の注意点
死後離婚を検討する際には、以下の点に注意が必要です。
・死後離婚をしても、配偶者との関係が切れるわけで はなく、戸籍も分かれません。
・死後離婚をしても、遺産相続権や遺族年金はなくな るわけではありません。
・姻族関係終了届を一度提出すると、原則として取り 消すことができません。
■死後離婚をしても、自分の子供との関係は変わりません。
死後離婚は、配偶者の血族との親族関係を終了させる手続きです。配偶者との間に子供がいる場合、子供は配偶者の血族であるため、死後離婚をしても、子供との関係は変わりません。
■死後離婚をしても、自分の子供と祖父母の関係は変わりません。
死後離婚は、配偶者の血族との親族関係を終了させる手続きです。配偶者との間に子供がいる場合、子供は配偶者の血族であるため、死後離婚をしても、子供と祖父母の関係は変わりません。
なお、死後離婚をすると、子供は祖父母の姓を名乗ることができなくなります。ただし、子供がすでに成人している場合や、子供が婚姻して姓を変更している場合は、そのまま祖父母の姓を名乗ることができます。
■遺言で死後離婚をすることはできません。
死後離婚は、配偶者の血族との親族関係を終了させる手続きです。遺言は、相続に関する事項を定めるものであり、親族関係を終了させる効力はありません。
なお、遺言で「死後離婚する」と記載した場合は、単に死後離婚を希望する意思表示にすぎず、法的な効力はありません。
■死後離婚は、誰にも知られずに行うことは可能です。
姻族関係終了届は、配偶者が亡くなった場所の市区町村役場に提出する必要があります。姻族関係終了届は、公文書として保管されますが、一般に閲覧することはできません。
■まとめ
死後離婚は、配偶者の死後、配偶者の血族とのトラブルを避けたい場合や、配偶者の血族と縁を切りたい場合に検討できる手続きです。ただし、死後離婚をしても、配偶者との関係が切れるわけではなく、戸籍も分かれません。また、死後離婚をしても、遺産相続権や遺族年金はなくなるわけではありません。死後離婚を検討する際には、これらの点を理解した上で、慎重に判断する必要があります。死後離婚についてご不明な点などございましたら当事務所へご相談下さい。