全国各地で進む、空き家対策!

空き家問題は、近年深刻化する日本の社会問題の一つです。2023年6月時点で、全国の空き家は約848万戸に上り、過去最高を更新しています。空き家が放置されると、倒壊や火災などの危険性があり、地域の景観や治安にも悪影響を及ぼします。
こうした空き家問題を解決するために、国や地方自治体、民間団体などがさまざまな取り組みを進めています。

■国や地方自治体の取り組み
国は、空き家対策の推進を目的として、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を制定しました。この法律では、空き家を「特定空き家」に指定し、所有者に対して適切な管理や活用を促しています。また、空き家バンクの設置や、空き家の解体費用の補助など、空き家対策を支援するための施策を実施しています。

地方自治体も、国が実施する空き家対策を補完する形で、独自の取り組みを進めています。具体的には、空き家の現況調査や所有者への情報提供、空き家バンクの設置、空き家活用の補助金制度の創設などが挙げられます。

・茨城県笠間市が空き家を転貸、移住者などの利用を想定
茨城県笠間市は、一戸建ての空き家を所有者から借り上げてサブリース(転貸)する事業に乗り出した。市が修繕、整備した上で移住希望者などに貸し出す。農村部などの空き家は借り手や買い手が現れにくく、民間事業者からは取り扱いを敬遠されやすい。修繕、整備した費用は国の補助金と賃料で回収する仕組み。
(2023年10月27日 5:00日経電子版)

・三重県伊賀市、移住者増やし空き家の有効活用 
三重県伊賀市では2016年度から移住・定住に取り組む専門の部署を設け、移住対策に力を入れてきました。
その取り組みの一つが「移住コンシェルジュ」の設置です。
移住に関する相談窓口を1本化し、内容によって担当の部署につなげ、情報がスムーズに得られる体制を作っています。
 昨年度は45世帯88人が移住し、統計を取り始めた2016年度に比べて3倍以上の世帯が伊賀市に移り住み、その数は増加傾向です。(2023年10月26(木) 12:51yahooニュース)

■民間団体の取り組み
民間団体も、空き家対策に積極的に取り組んでいます。具体的には、空き家を活用したコミュニティスペースの運営や、空き家を活用した事業の支援などが挙げられます。

・空き家バンクの活用
空き家バンクは、空き家を所有する人と、空き家を探している人をマッチングさせるサービスです。国や地方自治体、民間団体などが運営しています。空き家バンクの活用により、空き家を有効活用し、新たな住まいや事業の創出につなげることができます。

・空き家活用の補助金制度
空き家を活用するためのリフォームや改修、賃貸物件への転用などに対して、国や地方自治体から補助金を交付する制度があります。こうした補助金制度を利用することで、空き家を活用する際の経済的負担を軽減することができます。

■空き家バンクと改修費補助制度を利用した例

・東京都豊島区の空き家を改修して、子育て世帯向けの賃貸物件として活用した事例です。空き家は、築50年以上の一戸建てで、内装は老朽化していました。空き家所有者は、空き家バンクに登録したところ、子育て世帯を探していた賃借人から連絡を受け、賃貸契約を締結しました。

改修費は約100万円で、そのうち約30%が東京都の空き家改修費補助制度の対象となりました。改修内容は、内装の全面リフォーム、キッチンやトイレの改修、バリアフリー化などです。

空き家は、3LDKの広々とした間取りで、子育て世帯に人気のマンションの近くに位置しています。賃料は、周辺の相場よりも低めに設定されており、子育て世帯の負担を軽減しています。

■空き家を活用したコミュニティスペースの運営
空き家を活用して、地域住民が交流できるコミュニティスペースを運営する取り組みも進められています。こうしたコミュニティスペースは、地域の活性化につながるだけでなく、空き家の有効活用にもつながります。

・神奈川県横浜市の空き家を改修して、地域住民の交流の場,
コミュニティスペースとして活用した事例です。
空き家は、築30年ほどの一戸建てで、内装は比較的良好な状態でした。空き家所有者は、空き家バンクに登録したところ、地域住民の交流の場として活用したいという団体から連絡を受け、空き家を貸し出すことにしました。

改修費は約300万円で、そのうち約20%が神奈川県の空き家活用補助金の対象となりました。改修内容は、内装の一部リフォーム、トイレの改修などです。

空き家は、地域の中心部に位置しており、さまざまなイベントや講座を開催する場として活用されています。地域住民の交流の場として、地域の活性化につながっています。

■空き家を活用した事業の支援
空き家を活用した事業の立ち上げを支援する取り組みも進められています。こうした取り組みにより、空き家を活用した新たなビジネスの創出が期待できます。

・ゲストハウス(古民家を改装した民泊施設など)

・シェアオフィス(カフェやレストラン、イベントスペースなども併設し、さまざまな人が利用できる施設等)

・コミュニティースペース(地域の住民が交流できるスペースです。カフェやフリースペースのほか、イベントや講座なども開催)

■空き家対策の課題
空き家対策は、さまざまな課題を抱えています。

・空き家の所有者とのコミュニケーションの課題
空き家を所有する中には、高齢者や海外在住者など、空き家への関心が薄い人も少なくありません。こうした所有者とのコミュニケーションをうまく図ることが、空き家対策の成功の鍵となります。

・空き家の活用方法の課題
空き家の活用方法は、地域や建物の状況によってさまざまです。所有者が空き家を活用する意欲を持っていても、具体的な活用方法がわからないというケースも少なくありません。こうした所有者に対して、空き家の活用方法に関する情報提供や支援を行うことが重要です。

・空き家対策の財源の課題
空き家対策は、国や地方自治体、民間団体などによってさまざまな取り組みが進められていますが、その財源は限られています。空き家対策をより効果的に進めるためには、財源の確保が課題となります。

■まとめ
空き家問題は、地域の景観や治安、経済に悪影響を及ぼす深刻な社会問題です。国や地方自治体、民間団体などが連携して、さまざまな取り組みを進めることで、空き家問題の解決につなげていくことが重要です。
空き家についてご不明な点などございましたら、当事務所へご相談下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です