相続トラブルを防止!遺言書に記載する付言事項とは?

遺言書には、法定遺言事項と付言事項の2種類の記載事項があります。
法定遺言事項は、相続分や遺産分割方法などの財産に関する事項や、相続人の廃除などの身分に関する事項、遺言執行者の指定などの事項であり、法的効力があります。

一方、付言事項とは、遺族への感謝の気持ちや円満な相続についての願いなど、法的な効力を持たない事項で、遺言書の末尾に記載するのが一般的です。

■具体的には、以下のようなものが付言事項として記載されることがあります。

・遺言書を作成した経緯
・相続人への感謝の気持ち
・遺産分割に対する考えや希望
・葬儀や納骨についての希望

■付言事項には、相続トラブルを防止する効果があると言われています。そのメリットは、以下のとおりです。

・遺言者の意思を明確にする
付言事項には、遺言者の意思や考えを自由に記載することができます。そのため、遺言書の内容を読み取った相続人は、遺言者の意思をより理解しやすくなり、トラブルの発生を未然に防ぐことができます。

・相続人の理解と納得を促す
付言事項には、遺言書の内容を理解してもらうための説明や、相続人への感謝の気持ちなどを記載することができます。そのため、相続人は遺言書の内容をより納得しやすくなり、トラブルの発生を防ぐことができます。

・遺産分割協議の円滑化を図る
相続が発生した場合、相続人同士で遺産分割協議を行う必要があります。しかし、相続人間で意見が対立すると、協議が難航し、トラブルに発展する可能性があります。付言事項には、遺言者の遺産分割に対する考えや希望などを記載することで、相続人同士の理解を深め、協議の円滑化を図ることができます。

■付言事項により相続トラブルを回避する事ができた具体例

・相続人への感謝の気持ちを記載したケース
ある女性は、長男と次男の2人の子どもに、それぞれ自宅不動産と預金口座を相続させる遺言書を作成しました。女性は、遺言書に付言事項として、「長男には、私の介護を献身的にしてくれたこと、次男には、私の会社を支えてくれたこと、それぞれに感謝の気持ちを込めて、財産を相続させる」と記載しました。この付言事項により、相続人同士は、遺言者の意思を理解し、遺産分割協議が円滑に進みました。

・葬儀や納骨についての希望を記載したケース
ある男性は、妻に全財産を相続させる遺言書を作成しました。男性は、遺言書に付言事項として、「葬儀は、家族だけでひっそりと行い、納骨は、私が生前に建てた墓に一緒に入れて欲しい」と記載しました。この付言事項により、妻は、男性の希望を尊重して、葬儀や納骨を執り行いました。

このように、付言事項を適切に記載することで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。

■一方、付言事項には、以下のデメリットもあります。

・遺言書の解釈を複雑にする
付言事項の内容によっては、遺言書の解釈を複雑にし、真意とは逆に、トラブルの原因となる可能性があります。

・遺言者の意図が誤解される可能性がある
付言事項の内容が曖昧な場合、遺言者の意図が誤解される可能性があります。

■まとめ

付言事項は相続人への感謝のメッセージや、円満な相続についての願いなどを記載することで、相続人同士の理解を深め、協議の円滑化を図ることでトラブルを防止する事が期待できます。

一方で、付言事項は、遺言書の内容を補足するもので、法的効力はありません。ただし、法的効力がないとはいえ、付言事項の内容については、十分に吟味する必要があると思います。
遺言者の意思が不明確で曖昧な付言事項を記載した場合、かえってトラブルの原因となる可能性があります。
付言事項を記載する際には、法定遺言事項の内容とご自身の意思を明確にした上で、記載内容を検討するようにしましょう。付言事項についてご不明な点などございましたら、当事務所までご相談下さい。

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