事実婚とは?増える事実婚

事実婚とは、法律上婚姻届を提出せずに、事実上夫婦として生活している状態を指します。

日本では、近年事実婚のカップルが増えており、2010年の国勢調査によると、事実婚の件数が約60万に上るという数字も出ております。また、この5年で4割増という調査結果が出ています。

■事実婚が増える背景

事実婚が増える背景には、以下のようなものが挙げられます。

・選択的夫婦別姓制度の不導入
日本では、夫婦別姓制度が導入されていないため、結婚すると夫婦どちらかの姓を名乗る必要がある。
そのため、姓を変更したくない人や、夫婦別姓を希望する人が事実婚を選択するケースが増えている。

・結婚に対する価値観の変化
近年、結婚に対する価値観が変化し、結婚は法律で定められた制度ではなく、あくまでも個人の選択であるという考え方が広まっている。そのため、結婚に消極的な人や、結婚にメリットを感じない人が事実婚を選択するケースが増えている。

■事実婚のメリット

事実婚には、以下のメリットが挙げられる。

・姓の変更が不要
事実婚では、結婚に伴う姓の変更が不要である。そのため、既に取得した資格や仕事上の信用を守ることができる。

・事実婚を解消しても戸籍に記録が残らない
事実婚を解消した場合、戸籍に記録が残らない。そのため、離婚後のトラブルを回避することができる。

・親戚付き合いや介護などが負担になりにくい
事実婚では、法律婚のように親戚付き合いや介護などの義務を負う必要がない。そのため、自分のペースで生活を送ることができる。

■事実婚のデメリット

事実婚には、以下のデメリットが挙げられる。

・遺産相続の問題
事実婚では、法律婚のように自動的に相続権が付与されない。そのため、遺産相続を希望する場合は、遺言を作成しておく必要がある。

・税金が控除されない
事実婚では、法律婚のように配偶者控除や扶養控除が適用されない。そのため、税金面で不利になる可能性がある。

・夫婦関係の証明が難しい
事実婚では、法律婚のように戸籍上夫婦と記載されていないため、夫婦関係を証明することが難しい。そのため、保険や医療などの手続きで不便なことがある。

■デメリットの解消方法

事実婚のデメリットを解消するためには、以下の方法が挙げられる。

・遺言を作成しておく
遺産相続を希望する場合は、遺言を作成しておくことで、事実婚のパートナーにも遺産を相続させることができる。

・パートナーシップ制度を利用する
パートナーシップ制度とは、事実婚のカップルに対して、法律婚に準じた権利や利益を保障する制度である。
「結婚に相当する関係」とする証明書を発行し、様々なサービスや社会的配慮を受けやすくする制度です。

・民事契約を締結する
民事契約を締結することで、事実婚のパートナーとの間で、財産分与や養育費などの取り決めをしておくことが可能である。

■まとめ
事実婚は、法律婚にはないメリットとデメリットがあります。
事実婚を検討している場合は、メリットとデメリットをよく理解した上で、自分に合った選択をすることが大切です。
ただし、事実婚を選択した場合、相続権は発生しません。

そのため、死後に事実婚の相手方に財産を承継させるためには、遺言を残すことが必要になります。
遺言を残すことで、相続人ではない事実婚の相手方にも死後に財産を承継させることが可能となるのです。

また、遺言はいつでも、何度でも作り直しすることができます。
一度作成した遺言書も事情や状況が変わったら、その時々で修正したり、作り直すことが大事です。
遺言についてご不明な点などございましたら、当事務所にご相談下さい。

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