固定資産税が6倍!特定空家・管理不全空家とは?

特定空家と管理不全空家は、どちらも空き家対策特別措置法(空家法)に
基づく概念ですが、その判断基準が異なります。

■特定空家は、以下のいずれかに該当する空き家です。

・倒壊等の危険性がある
・衛生上有害である
・防災上支障を及ぼすおそれがある
・景観を損ねるおそれがある
・周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある

■管理不全空家は、放置すれば特定空家になるおそれがある空き家です。
具体的には、以下のいずれかに該当する空き家です。

・建物に著しい破損・変形がある
・窓ガラスが割れている
・敷地内にごみ等が散乱している
・門扉やフェンスが壊れている
・不特定の者が容易に侵入できる

このように、特定空家は、すでに危険性や悪影響を及ぼしている空き家であるのに対し、
管理不全空家は、放置すればそのような状態になるおそれがある空き家です。

■特定空き家または管理不全空き家に認定された場合

特定空き家または管理不全空き家に認定されると、
以下の措置が講じられる可能性があります。

・行政代執行による除却
 所有者が空家の除却に応じない場合、
 行政は、所有者に代わって空家を除却することがあります。

・管理命令
 所有者が空家の適切な管理に努めない場合、
 行政は、所有者に対して、空家の管理を命令することが あります。

・使用制限命令
 空家が周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある場合、
 行政は、所有者に対して、空家の使用を 制限する命令を出すことがあります。

管理不全空家に認定された場合、行政は、所有者に対して、
空家の適切な管理を促すための措置を講じます。

・助言・指導
 行政は、所有者に対して、空家の適切な管理の方法について助言や指導を行います。

・空家対策補助金の交付
 行政は、空家の除却や適切な管理を行うための補助金を交付することがあります。

・空家の管理者による管理
 所有者が空家の管理を委託する場合には、行政が空家の管理者を指定したり、
 管理者になるための講 習会を開催したりすることがあります。

・行政代執行による除却
 所有者が空家の適切な管理に応じない場合、
 行政は、空家の除却を命じることがあります。

なお、これらの措置は、空き家対策特別措置法に基づいて行われるものであり、
各自治体によってその内容は異なります。

また、特定空家または管理不全空家に認定された場合、
固定資産税の住宅用地の特例が適用除外となります。
(住宅用地の特例とは、住宅用地に課される固定資産税の課税標準を6分の1に減額する特例です)

■特定空家または管理不全空家に認定された場合の住宅用地の特例

特定空家または管理不全空家に認定された場合、
空き家が住宅用地から除外されるため、住宅用地の特例が適用除外となります。

具体的には、固定資産税の課税標準が6倍になり、
固定資産税の額も6倍になりますので注意が必要です。

なお、特定空家または管理不全空家から解除された場合、
住宅用地の特例が再度適用されるようになります。

■特定空家と管理不全空家に関する今後の課題

・特定、管理不全空き家に対する具体的な判断基準の明確化
・特定、管理不全空家に対する所有者の意識の向上
・特定、管理不全空家に対する補助金の拡充
・特定、管理不全空き家対策に必要な人材・予算の不足
・特定、管理不全空き家による周辺環境への悪影響

■特定、管理不全空き家に対する対策

・所有者不明、特定、管理不全空家の早期特定と所有者情報の共有
 所有者不明の空き家を早期に特定し、所有者情報を共有することで、自治体による管理や活用が円滑 になります。

・空き家対策に係る人材・予算の拡充
 空き家対策に係る人材・予算を拡充することで、自治体による迅速・適切な対応が可能になります。

・管理不全空き家の活用促進
 空き家を活用することで、空き家の数を減らし、地域の活性化にもつながります。

■まとめ
特定空家と管理不全空家は、空き家対策の重要な概念です。
それぞれの違いを理解し、適切な対策を講じることで、
安全で住みやすいまちづくりが進むことが期待されます。

なお、2023年10月現在、管理不全空家の具体的な判断基準は、
国土交通省が定めるガイドラインに基づき、各自治体によって策定されています。

空き家についてご不明点などありましたら当事務所へご相談下さい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です