認知症患者が675万人に!資産凍結問題?その対策とは?

日本は超高齢化社会を迎え、認知症の患者数は増加の一途をたどっています。
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、65歳以上の認知症患者数は2020年に約602万人、
2025年には約675万人(有病率18.5%)と5.4人に1人程度が認知症になると予測されています。

認知症と診断されると、原則としてご本人が銀行で預金を引き出せなくなります(口座凍結)。
預金に限らず、不動産・株式・投資信託の売買もできなくなります。
これを資産凍結といいます。

資産凍結となると、ご家族が生活費や介護費用の建て替えを行なったり、
自宅の売却が出来ないなど
ご本人やご家族にとって大きな問題となります。

そこで、認知症による資産凍結対策について、事前対策と事後対策の2つに分けて考えます。

■事前対策
事前対策は、認知症になる前に行う対策です。認知症の判断能力が低下する前に、財産管理を信頼できる人に任せておくことで、資産凍結を防ぐことができます。

事前対策には、以下のようなものがあります。

・任意後見制度の利用
任意後見制度は、認知症になる前に、後見人を決めておく制度です。後見人は、本人に代わって財産管理や介護などの支援を行います。

・家族信託の利用
家族信託は、本人が認知症になる前に、財産の管理や運用を信頼できる家族に託す制度です。信託契約により、家族は本人から財産を預かり、本人の意思に沿って管理や運用を行うことができます。

・生前贈与
生前贈与とは、本人が認知症になる前に、財産を家族などに贈与することです。贈与により、本人の財産を家族に移管することで、資産凍結を防ぐことができます。

■事前対策のポイント
事前対策を講じる際には、以下の点に注意が必要です。

・本人の意思を尊重する
任意後見制度や家族信託を利用する際には、本人の意思を尊重することが大切です。本人が納得して利用できる制度を選ぶ事が大切です。

・信頼できる人を後見人や信託受託者に選ぶ
後見人や信託受託者には、本人の財産を守るために、誠実で信頼できる人を選ぶことが大切です。

・定期的に財産状況をチェックする
後見人や信託受託者が適切に財産管理を行っているか、定期的に財産状況をチェックする。

■事後対策
事後対策は、認知症を発症した後に行う対策です。認知症を発症した後に、成年後見人制度の利用により、財産管理を行うことで、資産凍結を解消することができます。

・成年後見制度の利用
成年後見制度は、認知症など判断能力が不十分となった方を法的に保護・支援する制度です。家庭裁判所が後見人を決め、後見人は本人に代わって財産管理や介護などの支援を行います。

■事後対策のポイント
事後対策を講じる際には、以下の点に注意しましょう。

・早めに対策を講じる
認知症の判断能力が低下してからでは、任意後見人や家族信託の利用が難しくなります。速やかな対策が必要です。

まとめ
認知症による資産凍結は、本人や家族にとって大きな問題となります。認知症発症後の事後対策では出来る事に限りがあります。その為、事前対策を講じることが重要です。事前対策を講じることで、資産凍結を防ぐことができる可能性が高まります。
認知症のリスクは誰にでもあります。早いうちから対策を検討し、万が一に備える事が重要です。

資産凍結についてご不明な点などございましたら、当事務所へご相談下さい。

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